エアマックスが有名人の起用で爆発的人気に
1990年代の半ばにハイテクスニーカーブームが起こり、日本中で大きな影響をもたらしました。
当時はすでにたくさんのスニーカーのモデルが出ていたのですが、ナイキが1995年に「エアマックス95」を出したことで「ハイテクスニーカー」というジャンルに注目が集まりました。
このスニーカーは、「エアの可視化」というコンセプトで作られました。
ソールの部分に透明なパーツが設けられていて、そこにエアを充填しクッション性を高めるというものですね。
今までのスニーカーとは違って、高機能でその機能を見せるためのデザインが斬新だったのです。
新しいスニーカーのジャンルを作り上げたエアマックス95は、当時その革新的なデザインが衝撃を持って迎えられました。
独特のグラデーションを持つカラーリングや蛍光色とグレーの対比、そして機能性を感じさせるスポーティーなフォルムは、今でもカッコよさを感じさせてくれる素晴らしさですね。
このエアマックスのデザイン開発に携わったのは、セルジオ・ロザーノという若手デザイナーです。
デザインの構造は人体の骨格をイメージしたものでした。
靴ひもの部分はあばら骨をイメージしたもので、ソールは背骨、アッパー部分は筋肉の繊維質をイメージして作られています。
機能という面では、「ビジブルエア」というパーツを搭載しています。
空気を充填したパーツで、ここに窓を設けることで見た目にも機能がはっきりと分かるようにしたのがポイントです。
また、実用性も考えて黄色の蛍光色だけでなく、アウトソールに黒を配色して汚れを目立たないようにしています。
こうしたコンセプトはエアマックスの基本となり、その後登場する後継モデルにも取り入れられています。
エアマックス狩りを引き起こすほどに
こうして誕生したエアマックスは、瞬く間に異常とも言えるほどのブームを引き起こします。
新品での購入はほぼ不可能と言えるほどにあっという間に売り切れてしまいましたし、中古品はプレミア価格が付きました。
そして、「エアマックス狩り」という問題をさえ引き起こすまでになったのです。
街の中でエアマックスを履いている人を見つけると、恐喝したり暴力をふるったりして盗んでいくという犯罪です。
それほどまでに人々を熱狂させたエアマックスは今でもコレクションとして大事に保管している人が多くいて、プレミア価格もさらに上昇しています。
エアマックスは1990年代の後半には毎年のように新しいモデルが出て、その度にヒットしました。
その後も、機能性を高めてナイキにしかできないハイテクのスニーカーを開発し、エアマックスシリーズとして販売しています。
今なお人気が衰えることなく、絶えず進化を続けながら機能的にもデザイン面でも人々の注目を集めるシリーズとなっているのです。