バブル期の象徴でもあったスキーブーム
ウィンタースポーツの中でも、スキーほどブームを巻き起こしたものはないでしょう。
特にバブル期にはドラマや音楽、CMなどでもスキー場の光景が盛んに取り上げられ、多くの人がスキー場に出かけていきました。
実際に統計を見てみると、1998年のスキーとスノーボードの競技人口は1,800万人とピークを記録しています。
スキー関連商品の売り上げ高を見ても、そのことが明らかです。
1991年にピークを迎え、年間で約4,292億円ものをマーケットを作り上げました。
1980年代の日本におけるバブル期には、経済が急激に成長し、人々の所得水準が上昇しました。
その結果、多くの日本人が消費に余裕を持つようになり、高価な娯楽やレジャーにも興味を持つようになったわけですね。
このような中で、スキーブームが起こりました。
スキーは海外旅行や高級車、ブランド品などと同様に、高級なレジャーとして多くの人が見ていました。
バブル期の経済繁栄によってお金に余裕ができると、多くの人々が高級イメージのスキーに興味を持ち、スキー場や関連ビジネスは急速に発展したのです。
また、当時のマスメディアがスキーブームを後押ししたことも大きな要因となりました。
テレビ番組や雑誌などでスキーが流行する様子が取り上げられ、若者を中心にスキーに憧れるムーブメントが生まれたわけです。
さらに日本国内には豊富な雪山があり、ウィンタースポーツの代表的なスキーは地理的な条件にも恵まれていました。
このため多くの人々がスキーを楽しむことができ、スキー産業はバブル期に最盛期を迎えましたという背景があります。
過ぎ去ったスキーブーム
しかし、このスキーブームはバブル期の終焉と共に、急速に衰えていくことになります。
2013年の統計では、スキー・スノーボードをする人の数は770万人となっていて、バブル期と比べると40パーセントくくらいになっているのです。
スキー関連商品の売り上げの変化はさらに大きいですね。
2012年には年間1,124億円にまで落ち込んでいて、全盛期の4分の1にまでなってしまったのです。
もちろん、バブルとバブル崩壊の影響はスキーだけではありません。
それでも、スキーブームから学ぶことはたくさんあります。
スキーというスポーツを単に高級な趣味としてだけ見て、スポーツ本来の楽しさを味わうことができなかったということがマイナスの影響を与えてしまったのです。
これは遊ぶ人もスキーを宣伝するメディアも、場所を提供するスキー場についても言えることです。
やはり、ブームに乗っかるだけでなくスポーツは本当にその楽しさを知り、多くの人に長く続けてもらえるような形で進めていくことがとても大切というわけですね。